税理士がおこなっているIPO支援の概要と依頼の仕方

日本では、2000年初頭にベンチャー企業を支援する政府の取り組みが実施されました。
これは停滞していた日本の産業の起爆剤になるための方針であり、従業員が4名以上・設立されて1年未満・資金200万円以下の中小企業に向けた支援です。
この支援により、ITから製造業といった幅広い分野でベンチャー企業が登場して、日本の経済を大きく進展させる結果となりました。

IPOとは

ベンチャー企業はまだ東証一部に上場していない会社なので、まず最初に実績を作り出して上場を目指す必要があります。
この株式上場のことを、「IPO」と言います。
設立されて5年未満では東証では上場を認めておらず、資金も最低で1,000万円は必要です。
これは日本のみであり、経済大国のアメリカやイギリス・フランスでは障壁なしにベンチャー企業はIPOすることが可能になっているのは特徴です。
日本国内では企業のみの努力だけでは、実績を上手く築くのは難しいものでしょう。
この時に頼れるのが税理士で、多くの税理士事務所で支援をなされています。
2020年9月時点で、国内には計5万2,000件の税理士事務所があります。
このうち、4万件でIPO支援をなされており、各企業にとって活かせる技術を用いた円滑な運営方法を伝授されているのが特徴です。

税理士の役割

税理士は基本、外部委託という形で会社と関わるため、それぞれの会社の運営にはノータッチになります。
援助としてなされているのは、特許の出願・株式の取得・出資者の募集の3つのみです。
ここで詳しく、その3つを見ていきましょう。
まず特許の出願は法律も関係してくるので、個人でおこなうのは非常に難しいです。
日本では、株式に上場する際の特例として、特許を1個以上獲得している企業であれば資金・設立年数に関係なく登録なされます。
ベンチャー企業の場合は、新たなモノ作りを得意とされるのでこの特許取得を目指すのが近道といえるでしょう。
そこで税理士を頼れば、今まで登録されていなかった技術なのかをリサーチして、迅速な出願を可能とします。
次にステップを進めるには、東証に上場登録をおこなわないといけません。
この審査も非常に細かく、適切な書類を用意して業績を明確にすることになります。
従業員数が10名以上だと、約2か月間の審査となり、それ以下でも4か月以内に結果がわかります。

書類の作成から出願をお任せできる

税理士を頼るのはこの時で、書類の作成から出願をお任せできるのがポイントです。
従業員数が限られている中小企業の場合、事務手続きに専念できる人材は少ないため、円滑な出願をするためにも専門家にお仕事を依頼するのが望ましいでしょう。
そして上場が決まった際は、出資者の力を借りないといけません。
株を購入してもらうことで会社の運営資金が手に入り、そこから大きく業績をのばせるチャンスとなるわけです。
企業の代表者が直接、出資者とコンタクトをとることは法律で禁止をされています。
これは、インサイダー取引となる恐れがあり出資法という法律に明記されている件です。
そのため窓口となる方が必要なのですが、これもIPOをおこなっている税理士に任せられます。
主に企業説明・これまでに手掛けてきた開発、代表的な商品の説明などを一手に引き受けるため、企業は通常営業に専念できます。

税理士にIPO支援を依頼する際の手続き

実際に税理士にIPO支援を依頼する際は、どのような手続きをおこなえばいいのかを見ていきましょう。
まず専門としている事務所を探すことからスタートしますが、インターネットを駆使して業績のある事務所をリサーチするのが手っ取り早いです。
この時、実際に利用なさった方々の口コミを参考にするのも良いでしょう。
実績があるところほど利用者も多く、口コミを見ればどのようなサポートをなされているのかもすぐに理解できます。
依頼をする際は、電話やFAXだけの口頭ではなく必ず面談をおこなうのが大切です。
どういった方にお仕事を任せるのかを、直接目でみて吟味をしないと確かな信頼を築けないので、ここではたっぷりと時間を割くようにしましょう。
ヒアリングをおこなった結果、サポートも十分受けられると感じれば正式に契約へと進みます。
日本クレアス税理士法人などIPOを実施している専門事務所はたくさんあるので、1件だけではなく最低でも3件以上にコンタクトをとると、各事務所の対応やサポートを比較しやすいです。
契約は通常、半年から年単位となります。

まとめ

契約金と成功報酬の2つで費用を計上されますが、この費用は規定金額がないので両者が話し合って決めなくてはいけません。
一般的な費用相場としては、税理士1名に付き契約金は約60万円・成功報酬が約90万円です。
ベンチャー企業でこの費用を捻出するのが厳しい場合が、1か月という短い期間だけの契約にして、年単位でゆっくりと株式上場を目指すというのもひとつの手です。
一度上場すれば、あとは株式の発行をし続ければずっと登録されるので、最初はゆっくりと確実な方法でステップを進めるといいでしょう。

 

参考リンク
▶️日本クレアス税理士法人採用