個人投資家のメリットとデメリット

投資家といっても個人と機関の二つがあります。
機関投資家は主に銀行や証券会社やファンドといった大きな資金を使って投資をする企業や団体です。
一方個人で行う場合は、どうしても資金力では劣ってしまいますが、必ずしも不利という訳ではありません。

では個人投資家のメリットは何かと言うと、まず時間の制約や利益のノルマがないという点です。
莫大な資金を使って投資する場合は、一定の期間である程度の運用成績を出す事が求められますが、為替や株価は自分の思い通りに動く事はないので、決められた期間までに定めた目標額の運用成績を出す事は非常に難しいです。

しかし個人で投資を行う場合は、資金の運用期間は全て自分で好きなように決める事が可能ですし、売りたくなったらすぐに売り、買いたくなったらすぐに買う事が出来るというのは非常に大きなメリットになります。
その為、株価が暴騰を繰り返している場合、無理にその中に入る必要もなく静観する事もできます。

また個人でやっていると、政治や経済に対して自発的に勉強するようになるというのも良い点です。
常に政治や経済情勢に目を光らせる事で学ぶ事が出来、こういう事が起こった時には株価が上昇し、こういう事が起こった時には下落するという事を身を持って知る事が出来ます。
その結果、自分の中に知識や情報、経験が蓄積されていき、それが財産となって、次の投資に活かす事が出来るというのも大きなメリットです。

誰からも指図される事なく投資を行える

他にも誰からも指図される事なく投資を行えるという点も魅力の一つです。
機関投資家は自分の考え一つで投資をする事は出来ません。
色々なところからお金を預かって運用しているので、事業の方針や他のスタッフと相談しながら慎重に取引する必要があります。

しかし個人で行えば、全てが自由です。
買い時や売り時だけでなく、銘柄も自分の好きな物を選ぶ事が出来ます。
もちろん全て自己責任なので、損失を出す時もありますが、それでも自分が選んだ銘柄で利益が出た時の嬉しさは他には変えられません。

一方個人で投資を行うデメリットも存在します。
まず機関投資家の思惑に左右されてしまいがちという点です。
彼らは莫大な資金で市場に参加する為、投入する資金の額やタイミングによっては、為替や株価の値を上下させてしまいます。

例えば株価が下落している状況であっても、彼らが資金を投入して大量に株を購入する事で株価の下落に歯止めをかけるという事も可能です。
こうした行動は個人で投資をやっている場合は、資金力がないので出来ませんが、それでも政治や経済情勢、株の値動きや市場の雰囲気を読み取る事で、こうした状況下でも利益を得る事は十分出来ます。

入手できる情報に限りがある

また、入手できる情報に限りがあるという点も大きなデメリットです。
投資で必要な事は、いかに正確な情報を人より早く入手し、その情報に沿って売買をする事です。

しかし、情報力でも個人でやっているのと機関でやっているのではどうしても大きな差が出てしまいます。
機関投資家は、有力な情報を入手する為に、企業を見学したり、社長にインタビューをする等して情報をかき集めますが、個人ではとてもそんな事は出来ません。
せいぜい新聞やテレビのニュース、経済専門誌やインターネットで情報を手に入れる事ぐらいです。

これらのメディア等から情報を入手したところで勝負をかけようとしても、既に株価は上昇のピークを迎えていて、後は下落するだけという事はよくあります。
その為、情報をいち早く手に入れるという事は確かに重要ですが、資金規模が大きいところと張り合っても勝てるわけがないので、同じ事はせずに株価の水準や値動きに目を向けて注意深く売買する事が重要です。

つまり個人と機関では、知識や経験も、情報も資金力も使える時間も全てにおいて劣っているという事を知る事は忘れてはいけません。

個人で行うメリットを最大限に生かして資金運用する

このように個人で投資を行うメリットとデメリットを見てきましたが、重要な事はメリットの部分をどう活かすかです。
時間的制約がないという事や、誰からも指図されずに自由に銘柄や売買するタイミングを選べるという事、投資を勉強しながら楽しんで出来るという事が大きなメリットなので、これらを最大限に生かす為に、時間に余裕を持って、投資だけに全ての時間を使うのではなく、政治や経済と言った分野にも視野を広げて投資をする事が大切です。

短期間で儲けてやろうとか、他人が買って儲けているからそれを真似して買うという事をやってしまうと、個人でやっている事のメリットがなくなってしまいます。
特に友人が買っている銘柄だから自分も買っておこうという事は、自己責任という観点からもよくありません。
それで損でもしてしまったら、後悔の念は非常に大きくなってしまいます。

どの銘柄にどれ位の資金を使うかは全て自分の責任なので、よく分からない銘柄に手を出しても、結局知識がない為に買い時や売り時が分からず、損をしてしまいます。
そうならない為にも、個人で行うメリットを最大限に生かして資金運用する事が大切だと立沢賢一氏も言及しています。